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継ぐ者-2

「では、何か羽織るものをお持ちします」 「……大丈夫だよ」 「ですが、最近はすぐ寒くなりますし、天候も不安定ですので」 (天候が変わり易い。そういえば、木の葉が昨日までは青々していたのに、今日はもう枯れて殆ど葉が地面に落ちていた…それって…) 「やっぱり皇の気の力と関係があるってことなのかな」 優斗はそっと小さく呟いた。それを聞いた侍女は微笑みながら答える。 「私たちはランフィス様がユウト様をパートナーにされて次期皇となられるのを、心待ちにしております」 侍女達はさすがに、よけいな事を言わないように躾けられているせいか、それ以上は何も言わなかった。 『ランフィスが皇になるにはパートナーを得ていなければならない』 『彼らはランフィスが力を得るのを待っている』 ここは季節はないとビィは言っていた。 気温の変化と日の落ちの早さはまるで「秋」だった。これから寒くなる季節の兆候。 (やはり「皇の力が劣ってきている証拠」なのだろうか?) "………もう何も考えたくない……" 日が落ちて暗くなっていく空をぼんやりと見ながら優斗は深く息を吸い込み、そのまま目を閉じた。 「そこにいると、身体が冷える。侍女が心配しているよ」 その時、優斗の後ろから声がした。

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