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朝の間-1
…
……
…………
もう朝のはずなのに優斗の瞼はなかなか開かなかった。
(何でこんなに怠いんだ?)
思い切って瞼を開くと、窓から柔らかい風が入ってきているせいか天蓋の布がゆっくりと風で揺れていた。
しばらく優斗はぼんやりと天蓋を見つめていた。
(……昨日の夜ランフィスと最後までヤッてしまった…んだ)
思い出してしまった。じわじわと来るその事実。
身体の重さはソレの所為かと思うと優斗は顔から火が出るかと思うほど恥ずかしかった。
(アレは。あの"光の渦"が……アレが『気』?俺とランフィスが生み出した"モノ"なの?)
誰かが、天蓋の布をそっと開ける。だけど、優斗はそちらをみる気力がなかった。
「ユウト様、起きられましたか?」
若い侍女だった。声を掛けてそのまま何処かへ行ってしまった。
(今はどのぐらの時間なんだろう?)
優斗はここに来てから時間なんて気にしていなかった事に気が付いた。
ここには、時計があるのだろうか?
今日は何曜日・・なんだろう?
まだ3日と経ってないはず……。
そう考えてから優斗は急に可笑しくなった。
(曜日なんて……もう関係ないんだ。だって、もう向こうには戻れないんだから)
ランフィスやビィは優斗に、もう少しこちらの世界を理解してもらって時間をかけて連れてきたかったことを言っていた。
(時間をかけるという事っていう事は、「説得」されるってことだ)
時間をかけようがいきなり無理やり連れてこられようが、選択肢はこちらへ来るしかないってこと、それに優斗は気が付いてしまった。
だったら、こうやって無理やり連れてこられたほうがよかったのかもしれない。時間をかけられたら、絶対にこっちに来ない。
来れない。怖くて。
誰も知り会いのいないこんな世界に1人だなんて。
優斗は"異なる世界に有る物を食べてしまったらもう元の世界には戻れない"という何処かの話を思い出した。
「では、異世界の人と寝てしまった俺はもうだめってことだよね」
優斗は自虐的に小さく呟いた。
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