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湯の中-2※

ランフィスが構わず、湯船の中に入ってきて、そのまま、優斗の隣に来た。 「ここの湯の温かさが、熱くもなく冷めているわけでもない、だけど少しぬるい湯かげんになっているのは、 こうやってゆっくり湯につかって話も出来るようになっているんだよ」 「?」 「うん?ユウトの世界ではどうなっているのか分からないけど、ここでは、こうやって番同士が湯に入って語るのは一般的なんだよ。番同士でもなくても、友人同士でもよくやる」 「まあ、むこうの世界でも似たような感じなのもある、温泉とか友人同士でよく行くし」 でもなんかランフィスの言うこっちのとは根本が違うような気がした。 「私はユウトの世界の話をもっと聞きたいんだ。ユウトをもっと知りたいから」 ランフィスがぐっと近づく。 「ランフィス……昨夜みたいになるのは……」 「大丈夫。無理にはしない。だけど……」 "キスはさせて" 優斗の耳元に囁く。 優斗が思わずランフィスの顔を見ると彼は、そのまま優しくキスをしてきた。 優斗はそっと目を瞑る。 触れるようなキス。優斗の頭のどこかがジンとくる。 (これは(しるし)の引き合い?だけど、ブレスレットはつけたままになっていはず。昨夜もそうだった。なんだろう、これ) ランフィスは触れるくらいのキスを一回とそして、それから、そっとついばむ様なキスをした。 それは、とてもとても、 (だめだ。なんだか溶けちゃいそうかも、ずっとこのままでいたい) だけど、ふいに、ランフィスが優斗からはなれてしまう。

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