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広がる黒い染み-7
「まずお前は誰なんだ?何故、俺の事がわかった?」
「私は、ジマと言います。魔道を少し嗜む者です」
「ジマ?魔道士…か?」
「魔道を使うものと言う事です。レンさま?あなたの事が分かったのは、あなたの持つ色があなただったからです」
「……どういう事だ?」
「わかりやすく言えば、あなたの纏う色。魂の色、気の色と言ったほうがいいんでしょうかね?それがあなただったから…です」
「気の色?そんなのが見えるのか?」
「まあ、魔道を嗜む者によっては」
「……魔道士っていうのは、よくわからないな」
「まあ、こういった事はあまり知られてはいないからですね」
「うちにも、魔道士がいるが、彼にもそういう事ができるのだろうか」
「……ああ、宮廷付きの魔道士のビィさまですね。彼なら容易いでしょう」
ビィとはあまり話した事がなかったし、話す必要もなかったし、魔道士自体よくわからないといったことが多かった。しかも、
(ビィはあまり俺の事を良く思ってはなかったみたいだしな)
そうレンは自嘲した。
「さて、本題です。レンさま、昨日の話、ランフィスさまのパートナーを変えることができるという話ですが…」
ジマはいきなり話しをはじめようとした。
「おい、こんな所で話す内容か?誰が聞いているか分からないのに」
レンはこんな誰が聞くともしれない場所で話すとか、危険ではないのかと思った。だけども、ジマはしれっと言う。
「ええ、こういう場所だからですよ。こんな喧騒とした場所だから紛れるのです」
実際、レン自体も近くに座っているやつの事なんて気にも止めない。そういうものなんだろうか?とレンは思った。
「変える事はできるんですよ」
再びそう言って軽くジマは微笑んだ。
……
……
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