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闇のいざない-1
……
………
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「わかった。話をきちんと聞こう。だけど、昨日も思ったが"パートナーを変える事ができる"なんて話は聞いたことがない」
レンはジマのその怪しい雰囲気に気圧されそうになったが、かまわず言い返す。だけどジマはさらに畳みかけるように言う。
「考えてみてください。ランフィスさまとパートナーの交わりで気の力が発生し、国が潤う。そんな時、もしパートナーに何かあったのならどうします?今の皇子ではなく、先々代といいますか、今の皇が継ぐ者ではなかった時の、最初の継ぐ者である皇子に不幸な事があったでしょう?それと同じ様な事がパートナー側にも起こり得る事なんですよ」
「それは....」
レンは言葉に詰まる。
(そうだ、考えたことは無かった)
それは、そんな事は起こりえないと思っていたからだ。皇子よりも、パートナーはさらに外に出る事も少ないから、もしもという事は本当に起こりえないし、考えられない。しかも、印 のある者は"神から守られているはず"だ。しかし、神に守られている継ぐ者である皇子が亡き者となってしまい、今の皇が継ぐ者となって皇となった。本来なら今の皇は皇にはならなかったハズだ……。レンは色々と考えを巡らせた。そして、思わずジマに問う。
「もし、パートナーのユウトに何かあったのならば、それはどうなるんだ?」
「………そう、それです。次のパートナーは近しい者から現れるのですよ」
レンはこいつは、今ジマは何と言ったんだろうと一瞬分からなかった。
「……何?何ていった…?」
「……次のパートナーは"近しい者"から現れます……」
もう一度ジマは今度はゆっくりと言った。レンは再びそれを聞いて思わず目を見開く、ジマにどう答えていいか分からない。
「……それ…は…」
レンはそんな事は聞いたことは無かった。印 は"近しい者からは出ない"今までずっとそうだったしそう聞かされてもいた。
だけど、
「何故、皇のパートナーは"より近しい者"から印 は出ないとなっているのかと思った事はないですか?」
それは、レンは幾度となく何度となく、切実に思っていた事……。
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