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闇のいざない-2
「パートナー探しはとても皇子には大変なこと、自分の印 をより感じて呼ぶ声を聴かなければならない。近くから印 を持つものが現れたのならそんな楽なことはないですよね。だけどそれはない。何故なら、近しい者から印が現れるのは、"本来のパートナーが無きものになった場合に備えて"なんですよ」
「備えて…?」
「ええ、パートナーにもしもの事があった場合にはすぐさま次のパートナーが必要になる、そのためだからこそ、その時に近しい者から印が現れるんです」
ジマの言わんとしていることがレンには分かった。それは、
「それでは……今のパートナーを無き……」
言いかけてレンは思わず口を閉じた。
(このような所で話す事ではない。本当に誰が聞いているかもわからないではないか)
思わず周りを気にしてレンは辺りを見回してしまった。だけど、周りは変わらず騒がしく2人を気にする輩などいない。
「……大丈夫ですよ。ここはもう、誰も聞こえないし分からなくなっております」
「どういう事だ?」
「言葉通りです。皆には私達のことは認知されません」
「……結界か?」
「レンさまが色々気になさっていらっしゃるようでしたので、少し皆から分からなくなるようにしただけです」
なんだかあまり要領を得ない言い方をした。それからジマは一息ついてから言葉のトーンを少し変えて話しはじめた。
「ここから先をさらにお話するには、レンさまのお気持ちを確認しないことにはお話はできません」
「……気持ち…?」
「レンさまは、今の皇子のパートナーを変えたいとご希望ですか?」
レンはよく考えてみた。話はとても興味深いし、しかも自分が望む事が叶う…だけど、
「……その話は本当のことなのか?…」
思わず聞いてみた。
「……信じられなければ話はここまでです。だけど、レンさま?信じても信じなくてもレンさまにとっては損にはならないではないですか?」
(たしかにそうではあるが……)と、レンはさらに聞く。
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