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闇のいざない-3
「……何故、選んでこの俺にその話をした?」
「何故かと聞きますか?それは一番レンさまがわかっていらっしゃるはずです。……今の皇子のパートナーを無きものにして、"より近しい者"に印 を出す。それを望まれているのは、皇子の近しい者であるレンさまでしょう?」
「……皇子の側近であるこの俺が近しい者ということには間違いはないが……」
「…あなたと皇子が既に只ならぬ関係ということは一部の者にとってはわりと知られている事です。ここで今更言い淀みますか?」
(……パートナーを変えると言う事は、このジマの話を信じれば、それは要するに……)
「……無きものにするというのは、パートナーのユウトを殺すしかないってことではないか?……そんな事この俺が望めるわけがない。陽の国の皇子の側近であるこの俺が」
ジマは優しく微笑んで言う。
「……殺すわけではないですよ」
ここでジマは言葉をいったん切って言った。
「あなたがそれを望むのならば私はレンさまに協力を致しましょう」
それは、まるで悪魔の囁きであった。
「ユウトを……今の皇子のパートナーであるユウトを本当に殺すわけではないのだな?」
ジマは大きく頷く。
「それはもちろん。殺すなどということは絶対にあり得ません」
「俺に協力するというのはどうしてなのだ?ただでそんな危険なことをするわけはないだろう?お前にとってその見返りはなんなんだ?」
ジマはにやりと笑って言った。
「レンさまの望みはわが主 の望みを叶えるのにとても有効だからですよ」
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