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闇のいざない-7
「ビィさまが向こう側へ行かれてそしてこちら側へ戻られた・・・という事は公では知られていませんが、私は知っております」
一体このジマは何者であるのだろう?改めてレンはジマに対して疑わしく思った。だけどここまで来てしまった以上はジマの話に乗るしかないと腹をくくるしかなかった。
「おそらく、ユウトさまは向こうの世界を知っているという私に興味をもたれるかと思います。それで、私に会わせるとおっしゃってみて下さい」
優斗が向こう側の世界とこちら側の世界の違いについてビィに何度か教えてもらっていて、時折、気が付いた時に尋ねていた…という事をレンは思い出した。
(たしかにそれなら、ユウトは興味はもつかもしれない。だけどそんなに上手くいくものなんだろうか?)
レンは少し疑問に感じたが、それ以上に良い案もなくやってみるしかないと自分に言い聞かせた。だけど、ひとつもっと疑問に思った事があって、ジマに問いただす。
「ユウトを誘い出してそして、そのお前の主とやらに会わせただけでは、印 は消えないのだろう?」
そう、これがレンが最も聞きたい事であった。
「そうです。ユウトさまを無くすしかありまさん。だけど、実際、亡き者にするわけではなく、分かりやすく言えば、傍からみると死んでるように見える状態にするということです」
「……そんな事、できるのか」
「私ならできますよ……生きている状態を分からなくする…仮死状態、若しくはそれに近い事を施します」
そう微笑むジマの声色は怪しくて表情も読めない。
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