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麗らかな時の-2
「きれい」
思わず優斗は呟いてしまった。こんな花は見たことがなかった。向こうの世界。自分の世界ではこんな花はない。まるで満開の桜が透明な薄緑のガラス細工に変わってしまったようだと思った。その幻想的な雰囲気に見とれてしまっていた。すると、誰かが優斗のほうへ来るのが見えた。
(あれは誰だっけ?ああ、たしかランフィスの側近の人……レンだったっけ?)
レンは優斗のすぐ近くに来ると頭を下げる。
「ユウトさま、最近はあまり会わないでおりましたが、更に麗しいご様子でとても嬉しく思います」
「レン?だったよね?そんなに堅苦しく挨拶とかしなくてもいいよ?」
レンが優斗に改めて対面してみると、最初、会った時よりもさらに肌の色はさらに白く儚い感じになっていて何処かしら艶っぽくなっているのが見て取れた。
(こうやって、近くでよく見れば見るほど美人としか形容がないという事が良くわかる。これは、侍女たちが口々に噂するのも仕方ないってことだよな)
レンはまじまじとその優斗を見てなんとも言えない感情が湧きあがって来た。その感情をごまかしながら、ご機嫌伺的な取り留めのない会話をする。優斗はあまり抑揚のない声で返事をするばかりで、きっとこんな会話は何度となくされているんだろうなというのが分かる。レンはそこで、本題の話を始めることにした。
「そういえば、ユウトさま、私の知り合いに、向こう側の世界を知っているという魔道士がいるんです」
「ホントに?」
レンとの会話にはあまり興味もない様子だったのがこれにはいきなりくいついてきた。ジマが予想した通りの反応でレンは心の中で少し苦笑いをした。
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