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麗らかな時の-3
「ユウトさま一度お会いしてみますか?」
「会ってみたい…」
瞳をきらきらさせて期待にみちた顔をしている優斗はとても可愛らしかった。ランフィスはいつもこんな瞳で見つめられているのかと思うとレンはさらに複雑な気持ちになる。
「私のよく知っている店にいるんですよ?ランフィスさまも知っている店です」
「行ってみたいなあ……。でも、勝手に行ってもいいのかな?」
(そういえば外に出るなとかは言われていない。まあ、俺はここの世界は全くわからないから一人で何処かに行くってことはないし……だけどいいのかな)
優斗はそんな事を思ってすこし躊躇していると、
「夜とかでしたなら、危険かもしれませんが、まだ日があるうちに私と一緒にでしたなら大丈夫でしょう」
レンがそんな事を言った。
「レンが一緒に行ってくれるの?」
(レンが一緒なら大丈夫かな?)
そう思った優斗はすぐ返事をした。
「だったら行きたいな」
まるで今行きたいとばかりな様子に、レンは少し戸惑ってしまったが、ジマが、もし、優斗がすぐにでも会いたがるようなら、迷わずすぐに連れ出してくれと言われたのを思い出した。
「では、本日これからではどうですか?」
「行きたいけど、今日?」
優斗はしばらく考える。
「まだ日も高いし今からなら、暗くなる前に戻ってこれますよ」
そんな言葉を受けて
「それなら行って見たいな」
と疑問も持たずに返事をした。
優斗は、これまで、こちらの生活に慣れるのに大変で余裕もなくて、いろいろ周りを見てみることもなかった。だけど少し慣れたせいか飽きて来ていた。ランフィスは忙しそうだし、さりとて、皇宮の外へ出るには自分は慣れないしわからない、ビィもやはり忙しそうだしそれに気軽に頼む雰囲気でもない。そんなときにレンに久しぶりに庭であって、皇宮の外へ一緒に行ってくれるとか言ってくれるだなんて嬉しく思った。
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