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憂慮-2
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ビィは、最近レンの周りで微力な魔の力を感じていた。ただ、酒場へ毎夜通っているようだったし、街中にいる占い師や稀に踊り子や絵師、吟遊詩人などといった芸術家の連中にも持ち得る程度の魔の力で、ああいった場所にはそういう連中も多く出入りするからその所為だろうとは思っていた。
以前はお忍びでランフィスもレンと行った事があった酒場だった。ランフィスは皇宮からなかなか出掛けられない身だったが、ビィは、ある程度の息抜きも必要だろうと、皇宮近くの城下町なのであえて止めはしなかった。だが、密かに式鬼 を付けて警戒はしていた。
それも、最近ではランフィスは、レンと夜に酒場など行かなくなったので、式鬼 を付ける必要も無くなった。レンがまたそこへ通っているが、ランフィスを伴っているわけでもないのでビィは特に気にしてはなかった。
(まあ、今の彼の状況では、夜、酒場へ行っての憂さ晴らしをしたいというのもわからなくはないですしね)
と思っていた。
だがここ最近、急にレンの様子が違っていると感じたビィは、再び式鬼 を付けることにした。
けれども、魔との接触もなく、微力の魔の力のみで脅威になる者との接触もない。夜の酒場に通えばこの程度の魔の力を持っている占い師や芸術家も出入りしているし、そういう連中と毎晩少し接していれば、微力な魔の力の反応もあるだろうと思われた。レンの様子が変わって見えたのは気のせいだったのだろうか?とビィは思った。
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そんな時、ビィは突然何かの異変を感じる。
それは、皇宮の敷地から離れてすぐの所らしき場所。そこに、ビィはとても強大な闇の魔の力の放出を感じた。急いでその場所へ行ったが周りには変化はなかった。
(結界の及ばないこの場所で……)
そこは皇宮の外で結界はそこには及んでいない。何故いきなり、闇の魔の力の放出を感じたのか、
(何か大事無ければよいのですが……)
ビィはこれが杞憂であってほしいと願った。
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