84 / 379

落ちる-1

… …… ………… (……あれ?) 優斗は真っ暗な何も見えない所で目を覚ました。目隠しをされているのかと思って思わず顔を触る。だけどそうではなかった。目が開いているのか閉じているのかが分からない状態で、思わず目をパチパチと開いたり閉じたりしてみた。それに身体も重くて動かなかった。 (ここは何処?) 優斗は一体何が起こったのか分からなかった。どこか静かな、何か柔らかい所に寝かされているという事だけは理解した。手も足も拘束はされていないようだった。 (たしか、ジマという人に会って、それで、どうしたんだっけ?) 暫くぼんやりとしていると、いきなり声がした。 「起きられましたか?」 真っ暗で何も見えなかったのが、優斗が声のするほうを向くとその声の主が誰だかはっきりと見えた。 「あなたはジマさん?…ここって何処?」 「ここは、何処でもない場所…とでも言いましょうか」 「何処でもない?」 「私の(あるじ)が望んで、私が創った場所です」 「創ったって?え??」 ジマがいきなり何かよく分からないことを言い出して優斗はきょとんとする。 「ここは、どの魔道士にも認識されない所です」 「どういうこと?」 「魔の力を伴わない能力によってつくったものだからです」 「何言っているの?」 優斗にはジマが一体何を言いたいのか分からなかった。とにかくもっと説明が欲しかったからさらに優斗が聞こうとすると、 「さて、説明はきっと(あるじ)がしてくれるでしょう。私は、あなたが起きられたことを主に知らせる事にします」 ジマはそう言って何処かへ行ってしまった。 またひとりになり優斗は取り残される。 暗いと思われた所は優斗のいる場所だけは明るく見えるようになった。だけど、周りは全く見えない、暗いというよりも光が通らないというか、そんな場所であった。 (何処でもない所?何なんだろう?) .

ともだちにシェアしよう!