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閉じる空間-4

ギオはこの空間が閉じている途中であったことで、かなり不安定になっているのを危惧していた。 (しかも相手はビィだ。ヤバいだろ?) ジマも力があることはあるしそれはギオも認めてはいるが、ビィはこの世界では恐らく一番大きな力を持っている魔道士だ。争えばただでは済まないだろう。 (あいつらをマジで争わせたらこの空間がヤバイ) 風の渦によって爆ぜた玉は四方に飛び散った。すると、その一部がすっと、優斗へ向かって飛び込んできた。 「……ッ」 火の粉のような熱さだったが、だが、それは頭の先からつま先へと抜けて行き、一瞬、優斗の身体は暖かくなった。 (……?何?) 優斗は不思議に思ったが、そんな(てい)になったのは自分だけであり、ジマ、ギオにはただただ熱い火の粉が掛った状態だった。 「くっそ。ジマ早くしろ!」 その言葉と同時に真っ黒な空間があたりにどんどん広がっていった。 (……これが、空間が閉じられていく…ってこと?) 優斗は辺りを見回す。暗い暗い空間が広がっていく。 (これで……また、戻れなくなる…の?) どうしたらいいんだろう?優斗は不安とそして恐怖とでいっぱいになる。 「これ以上は無駄だ。ビィ。陽の国の皇族は我らと表裏一体であるというのを忘れるな。ユウトにはお前らはすべての真実を話してはいないんだろう?」 "それは……" ビィが何か答えたようだったが、その声も何処か遠くになる。 「ビィっ!!!」 優斗が叫ぶが、声は届いたのかどうか分からない。 ただ、 (俺にはすべてを話してはいない……って?表裏一体……って) その言葉だけがぐるぐると頭に回っていた。 .

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