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変調-1
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その異変を感じた時、ビィはすぐさま、皇城の敷地の外へ向かった。そこに強大な闇の魔の力の放出を感じた。……しかし周りには変化はなかった。
皇城の要所にいる魔道士の者に気を飛ばし、様子を見たが特に今の所は異変もない。
それでも、ビィは何かしらの嫌な予感がした。
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だが、異変は起こっていた。
ランフィスは珍しく早くに公務が終わったので部屋に戻ろうとしていた。その時、侍女達が優斗が庭から戻っていないと聞いてそのまま部屋ではなく庭へ行ってみることにした。
緑の国の花々がある緑の庭は今、薄葉花が盛りでとても綺麗だった。だが優斗の姿は見えなかった。恐らく花々に見とれているうちに奥へ行ってしまったのだろうと思って、ランフィスはさらに庭の奥へ行った。
しかし、何処にも優斗の姿はなかった。
「ユウト?」
入れ違いになってしまったのだろうかとランフィスは不思議に思った。
特に事態の異常さは感じなかった。
……だがしかし、皇城の何処にも優斗の姿は無かった。
城で迷子になってしまったのか?たしかにこの皇城はとても広い。優斗のように慣れない者ならば迷子になりかねないだろう。だが、要所には衛兵もいるし、魔道士もいる。見咎められずに行動は出来ないはずだ。ランフィスは今一度、優斗の部屋へ行って見ることにした。が、やはり優斗の気配は無かった。
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