93 / 379

変調-2

…… ……… 優斗の姿が消えた。 この結界の中で、優斗が消えると言う事態が起こることは起こり得ない。 (……先ほどの出来事はユウトさまを狙った事なのか…・?) ビィが闇の力の放出を感じたのは、皇城の外である。 (不慣れなこの土地でユウトさまが1人でというのはまず考えられない。誰かに呼び出されたか、あるいは……) ビィは城中の魔道士を呼び出して優斗を見かけたという者がいないか聞くことにした。すると、レンと歩いているのを見たという者がいた。 「レン…ですか」 急ぎレンの元に行き、レン付きの従僕に様子を聞くと、 「レンさまはずっと寝ていらっしゃっております」 そんな事を言っていた。 「いつからですか?」 「それが、勤めから帰ってから直ぐ眠ってしまわれていて……」 その時間を聞くと、あの闇の力を感じた頃から間もない時間であった。 (これは……) レンは何らかの事に関わっているのだろうか?ビィはとりあえず従僕にレンが起きたらすぐに自分の所に知らせるようにと言い渡し、そのまま城外の闇の力を感じた場所へ再び向かう事にした。 (何かが外で起こったのは間違いない……) ビィは憤りを感じた。 「……この私が守るこの場所でよくもやってくれたものです」 だがビィには未だこの事態を起こした者の正体が見えない。闇の皇子だろうかとも思ったが闇の力が働いたのは、城外に大きな力の発動を感じたその時だけで……。 (それだけでは、ユウトさまをどうにかするというのが出来た可能性は低い……) .

ともだちにシェアしよう!