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変調-5

ある程度の条件があるのは分かってはいるが、可能性としてはジマの能力。その能力故に、闇の国へ引き寄せられたのだろう。 (そうであるなら………) ビィは静かに目を瞑る。 力の波動を切り替えなければならない。 魔道ではない力を感知するのには自らもその能力を充てなければならない。 (これはとてもなつかしい力を出さなければなりませんね…) 自ら奥に潜ませていた能力。ビィが向こう側にいたのはかなり大昔であった。おそらく1000年余の昔であろう。 (向こう側では違う呼び名で呼ばれていましたか。昔すぎて忘れてしまいました。向こう側ではこちら側の世界の魔道の力は珍しく妖弧の力であるともいわれましたっけ。おかしな話でした) ビィは向こう側の世界でも何人かの能力を持つものに出会ったが、それは、こちら側の世界の魔道の力ではない別のものだった。 (その能力を感じることができたのなら) そして、ビィは目をそっと見開いた。 (……そう、これです。感じることができる。この力は魔道とは違う。自然の気を直接感じ、おそらく人の力の奥底にある元々の能力を増幅させたもの。魔道士は魔の力を鍛錬と訓練で力を高めて強化させたものだから。これは似て非なるもの) ビィがその力の元を探っていく……。しばらくして、何かを掴み取った。 (分かりました) "それ"が視えた。 「そこに飛びましょう」 ………… ……… …… .

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