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囚われの-5
「全く同じ条件ではないと発動はしないということなのか?」
「印についてはまだよく分かっていない部分もあるので、それとはまた違う何かがあるのかもしれません。研究なさっている方に聞くのが一番ですが……それは無理ですので」
「研究ね……」
ギオは何か考え込むようにして少し首を傾げた。
"……あの、ビィに聞くのには無理な話だ"
囁くような小さい声だったが、だけど、その声を優斗は聞き逃さなかった。
「ビィ?ビィが印を研究しているってこと?」
「……?」
ギオは一瞬、不思議そうな顔をした。
「ああ、聞こえたか?そうだ、ビィだ。あいつは、印についての研究をしているんだよ。知らなかったのか?そうだろうな。まあ、お前にはきっと全てを話してはいないだろうな」
「全てってどういう事?」
優斗は何度もギオに問う。
(……ギオがビィに言い放った言葉。たしか『陽の国の皇族は我らと表裏一体である』『すべての真実を話してはいない』……と、まさにそれだ……)
それがとても気になる。
「そのまんまだよ」
「そのまんま?って」
ギオはその赤い瞳で優斗をじっと見つめる。
「話してやろうか?」
「……ギオさま、今は、ユウトさまの体力もあまりないので疲れてしまわれるかと」
ジマが少し咎めるように言う。
「ああ……。そうだな。まあそんなに時間もかからないとは思うが、どうする?」
「……大丈夫。話してほしい」
優斗は気になっていた事をこのまま有耶無耶にはしたくはなかった。
「……では、私は邪魔が入らないように結界を強くしておきます」
「そうだな、わが領地へ来たとはいえ。身内に邪魔をされないとは言えないしな」
「……くれぐれも話す以上のことは今はなさらないように……」
「わかっているよ。まあ、楽しみは後ほど…だな。動かない状態では"楽しく"ないしな」
"では……"
そう言ってジマはもやのようになって消えた。
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