108 / 379

ノイズ-3

頭の中のノイズは優斗に対して何かのメッセージを発していた。 ソレは、メッセージというよりも、何かの塊。まるで暗号化された圧縮データのようなものだった。 ソレが、一気に優斗の頭の中を駆け巡った。圧縮データを解凍していくみたいに、優斗の中で"溶かれて"いった。 ソレは幾重の言葉を連ねるよりも有効で、優斗はソレを瞬時に理解することが出来た。 "今自分が成すべきこと" 優斗は今得た情報(データ)を元に考える。 ("ギオの兄"が『結界を解いて中に入った』と言っていた。おかげで、今おそらく少しは緩んでいるかもしれない。だからそれを試してみないと) "やり方"は先ほどの得た知識によってその(すべ)は解っていた。 (意識を額の真ん中に集中する。自分の気の力をイメージして、そして……) "自分は光。自分は……()……" それを全身へ行き渡すように……。それから……。 『飛ぶ』 優斗は自分の身体が急激にふくらんでそれからふわりと浮いた気がした。だけど、何か怖くなって、目を閉じてしまった。 気が付けば、いつの間にか目を開いていて、自分を吃驚して見上げている顔が見えた。 「ギオ?」 それは、ギオであった。そしてその隣には見慣れない顔があった。 (あれがギオの兄?口をあんぐりと開けて、まるで阿呆だ。ギオよりもさらに驚いた顔をしてる) 2人は何か声を上げているようだったが優斗には全く聞こえなかった。 .

ともだちにシェアしよう!