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ノイズ-5
ランフィスにはそう言ったものの、果たしてソレが出来るのかどうか正直、五分五分であるとビィは思っていた。
(ユウトさまに、ギオから引き離された時に渡したモノ。あの時、無事に優斗を助けられるという保証がなかった、だから最初から渡すつもりではいた。おそらく傍目にはただの火の粉に見えるモノ。丁度争いになったから、紛れて渡すことができた……)
メッセージを載せた塊は確実に優斗の中に入っていった。
優斗はあのメッセージの塊を溶いてくれれば大丈夫なはず。でもそれは、優斗の運とその力量に頼るしかない。ビィはそう思った。
…
………
…………
……それはすぐに現れた。
『ユウトの色が視える』
ランフィスはそう感じた。
見えたのは、白く光る塊。ランフィスは何か燃えているのかと思った。高い高い空の上から。まるで、羽のようにふわふわと舞いながら落ちてきた。
最初は小さい塊に見えた。ランフィスは手のひらへ乗るようだと思った。だから、そっと手を出した。だけど、近づくにつれてそれは大きくなった。あと少しというところで、それは人の形をとった。
ランフィスは両腕を出してしっかりと抱きとめた。
「……ユウト……?」
ユウトが腕の中で静かに眠っていた。落ちてきたのは優斗であった。
まるでベッドの上かというように静かに寝ている。
「ユウト!!!」
思わず声が大きくなる。その声で目を覚ましたのか、優斗がゆっくりと目を見開いた。ぼんやりとしたその目線の先に、ランフィスを認めると、
「……ランフィス……本当にランフィスだ……よかった」
そう言ってまた目を閉じて眠ってしまった。
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