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再会と別離-2
……
………
レンは優斗が消えてしまってから眠っていた状態だった。それは、恐らくジマの術 によるものであるとビィや他の魔道士皆の見解だった。
優斗が消えた事に対してレンの関わりを聞き出す事、所謂、尋問であったが、それも出来ないでいた。
それは、優斗が無事戻って来れたという時にもそのままであった。
その術をビィによって解除しようとしたが、なかなか打破出来ないでいた。それで、幾度かにしてようやっとレンは目を覚ますことができたのだが、レンの記憶は曖昧で所々抜け落ちていた状態であった。
「全く分からないですか?」
ビィはレンに対して少しずつ尋ねていった。
「……覚えているような所もある…だけど、はっきりとは分からない」
「……そうですか、それでは、申し訳ないですが私の術によって記憶を呼び覚ませて頂きます。もし、辛いのであれば、再び記憶を埋もれさせる事も出来ます」
「……いや、大丈夫だ」
レンは目覚めてから、ビィから色々な自分が起こしたとされる事件を聞かされたが、自らの記憶の中には全くそれをやったという覚えがなかった。しかし、本当に自分がやってしまったというのであれば、それを知らない状態であるというのは嫌だ。そうレンは思ったからだった。
……それで、その記憶を呼び戻す術を受けた。
だけど……。ビィによりその記憶の大部分を呼び覚まされた時、レンは自分が起こしてしまった事に呆然とした。
「自分は……」
レンは次の言葉が出てこなかった。
(本当に自分がしたことなのだろうか?記憶の中のアレは本当に自分なのか?)
何故こんな事態になったのか、そして、その時に何が起こってしまっていたのか。ビィはレンに色々と聞いた。
それにひとつひとつ答えて行くとレンは次第にその事実を本当であると確信してきた。
「ジマに付け入る隙を与えて口車に乗ってしまったような恰好になっているはいえ、これは、自分が望んで選んでやったことだ。それに言い訳は出来ない……ユウトの印を消そうと思ったのは事実だ。ソレが出来ると聞いてそれを望んだのは自分だ……」
そう言ってレンは顔を手で覆った。
「この招いた結果はどう抗おうとも死罪に値する……」
「…それは追って沙汰があるまでお待ちください……。ですが、レン様が謀って手を下した訳ではなく情状酌量の余地はあるかと思われます」
ビィは静かにそう言う。
だが、たとえ、ランフィスも優斗も自分を許してくれたとしても自分は自分を許せない……そうレンは思った。
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