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再会と別離-3
(それだったのならば……)
レンはキョロキョロと辺りを見回す。その様子をみていたビィが言う。
「申し訳ありません。レン様の持ち物はすべて私どもがきちんと保管しております」
それを聞いたレンが一瞬驚いたように目を見開いた。
「…俺が自決を選ぶと分かっていたのか…?」
「そうなる可能性もあると予測はしていましたが、ですが、ここは病の方を見る所でございますので、そういった持ち物は一旦預からせて頂く事になっているのですよ」
そう言ってビィは優しく微笑んだ。
(ああ…。ビィはなんでもお見通しってやつなんだな……護身用の短剣もすべて取り上げられた…のか)
「記憶をまた埋もれさせる事もできますが……」
「いや、いい。最初に言った通りだ。自分のした事に自覚を持っていたい」
"だけど……"
レンは暫く目を閉じてまた見開いて言う。
「だけど、このまま、また眠っていたい。おそらく起きていたらおかしくなってしまうだろう」
このままここで沙汰を待つのみであったのならばきっと自分の心がどうにかなってしまうとレンは思う。
ビィは少し辛そうな表情をして、
「わかりました……」
そっとレンの頭に手を当てた。
「申し訳ありません。レン様。またレン様を眠らせてしまう事になってしまいまして。ずっと眠っていただくのは健康に障害が出ます。暫くは私がレン様の様子を看ますので……」
最後のほうの言葉はレンにはもう聞き取れなくなってそのまま眠りに落ちて行った。
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