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再会と別離-5
「やっと戻ってこれた……」
目をそっと閉じて小さく優斗が呟くと、その言葉が終わらないうちにランフィスに口付けられた。
「よかった……本当に…」
ランフィスの紫の瞳が間近にあって
(綺麗な紫色。紫色の瞳も綺麗だし。その銀の髪も。顔も本当に……ランフィスって何度も綺麗って思う)
それは、優斗が最初会ったときに感じたまま。すると、
「……あれ?ここの部屋って?」
ふと気が付けば部屋の様子が何処か違っていた。優斗がこちらに来た時に充てられたいつもの部屋ではない。
「……ここは私の部屋だよ?」
「どうして?俺の部屋ではないの?」
不思議そうに優斗が問うと、
「ユウトの様子を少しでも早く知りたかったから。それに、何か用事があれば、こちらのほうが、中央の執務室に近いからすぐに行ける」
そう、ランフィスが答えた。優斗に与えられた部屋も広かったが、ここはそれ以上に広い。
「お披露目の日まで念のためここにいるといいと思う」
「いいの?」
「ユウトの事が心配だから……それに、今まで忙しくてなかなかユウトと話も出来なかったからね」
そう言う傍からランフィスは、従者に呼び出されて、そのまま部屋から出て行ってしまった。最近では現皇であるバスティンの代わりにランフィスが色々執務を行う事が多くなってきていたのでより忙しいのだった。
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