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再会と別離-6
暫く日が経って落ち着いてきた頃に、優斗はレンのことを噂として聞くこととなった。それは侍女達が、何やら作業をしていた部屋に通り掛かった時に漏れ聞こえて来た話を耳にしてしまったからだ。
優斗はこちら側の人間ではない。だから、誰でも知っているであろう事もしらない。皇子のパートナーに無駄な憂事で煩わせないというのは当たり前な事なのだろうが、優斗がランフィスとレンの関係を"知らない"というのは、
(それがレンにとってはどんなに残酷であったことか・・・)
優斗は胸が傷んだ。だけど、たとえ自分が知っていたところでどうしていいかもわからない。
(自分はどう接していいかもわからなかっただろう)
そういった関係をレンも承知で受け入れていたのだとしても・・・・・・。
だけど、人の心はそう割り切れるものなのだろうか?
それが、印 というものなんだろうか?
こちらの人はそれが当たり前なのだろうか?
人の心はこちら側の世界の人も俺の向こう側の世界の人も心は変わらないと思う。
・・・・・・レンは何も悪くない。
優斗はそう思った。
しかし、継ぐものであるランフィスのパートナーの優斗を危険な目にあわせたこと、それに、レンは意図しなかったこととはいえ……その事実は変わらない。だけど……。
(だけど一番酷いのはレンを利用した闇の国の連中だ)
ギオから聞いた話は本当のことなのか、それとも、ギオが勝手に作った話なのか。優斗には嘘を言っているようには思えなかった。
(ビィと話をしてみたい)
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