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ビィ-4
「ジマの術によってですか?仮死状態・・・。ユウトさまに何事もなくご無事だったからよかったものの、それはとても危険な行為です」
「そんな危険な事だったの?」
「そうです。目覚めなかった可能性だってあります。なんと無謀な……。そういった、生死にかかわる術は魔道では禁じられているのですよ?」
(よかった目覚めて…もし目が覚めてなかったらあのまま本当に死んでた……?)
優斗は今更ながら安堵する。そこで改めてビィに聞いた。
「もし、俺の印を消すことができたのならば、俺はここにいる意味がない。だったら向こう側へ戻ってしまうほうがいい。ビィは向こう側へは戻れないって言ってたけれど。でも、ビィは行き来ができたんだよね?」
もし、その時に"印が消えていた"のならば、ギオが言うようにランフィスのパートナーでいる必要がなくなるという事……それを思うと優斗の心はざわつく。
ビィは暫く考えてからそれに答える。
「それは、先ほども申しました通りに、私が向こう側へ行ったのは向こう側の人に呼ばれて引き合いによって行ったようなものでした。落ち人となってこちら側の世界へ戻って来た時に、時代は数百年違いましたが場所は殆ど変わらずに戻って来れたのは本当に偶然だったのです。本来は時代も場所も選べずに下手をすれば何千年も先の時代か逆に過去の時代か全く違う場所に行ってしまう可能性もあるのです」
「偶然……」
(帰れないとわかると、どうしようもなく帰りたくなる…ものだよね…)
優斗は向こう側の元の自分の世界の事を今さらながら色々と思い出してしまう。
(父さんと母さんはどうしているのだろう、きっと心配している。こんなことになるなら、もっともっといろんな話もしていろんなこともしてあげればよかった)
と、次々と心に浮かぶ。
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