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ビィ-5
「"落ち人"の事象は確実ではなく、不確定要素のありすぎるもので、ユウトさまがもし、落ち人となって向こう側へ帰りたいと申されましても私達の力では、落ち人を作る事は出来ません。ですので、ユウトさまには落ち人の話をお耳には入れたくはなかったのです。それが、出来ない事であるとなれば、ユウトさまは更に気落ちされてしまうと考えたのです。ですが…。
闇の国の連中がユウトさまへそのお話をされてしまうとは、私にはとても憤りを感じています。ユウトさまのお気持ちも考えずに話してしまうとはなんと浅はかな……」
ビィは少し怒りを込めた口調で言う。だけど、とても悲しそうな申し訳なさそうな表情だった。
優斗はいろんな気持ちが入り混じってそれにどう返していいか分からない。
(俺には知る権利がある。そう思っていた。だけど……)
向こう側へ戻れる方法があると分かって、だけどそれはやはり無理な事と改めて知れると……最初からできないとあきらめていた時よりもさらにダメージが大きいもので……。
(傷つけないようにという心遣いはとても嬉しい…でも、)
優斗は深い溜息をついた。
気落ちする優斗を見るとビィはとてもやるせなく感じる。自分の力が及ばず、優斗を深く傷つけてしまったことになっているからだ。
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