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転寝のあと-1
…
……
………
優斗は転寝をしてしまったようだと思って急いで目を覚ました。ふと気が付くと、何処か周りの様子が違って見えた。
(ここ……俺の部屋だ……)
そこは、見慣れた自分の部屋だった。部屋の本棚、机と……ここは本当の"優斗の部屋"であった。
"あれ?どうしたんだ?"
(元の・・世界?戻って…)
優斗はキョロキョロと辺りを見回した。見慣れた天井と壁と……壁には好きなアーティストのポスターが貼ってあって…その左隅が取れかかっていて…机の上には読みかけの本が転がっている…そのまんまの……元の世界の自分の部屋だった。
そして、寝ていたのはもちろんパイプベッドで。これはシンプルでとても好きなデザインのもので優斗が気に入って買ってもらったもの。……優斗はそんな事を考えながら…起き上がった。
(え?じゃ……今までのことは……夢?……だったの?……だよね?あんなの現実 じゃないよね。あり得ない事だったもの)
そう、そうだよ。このリアルな世界は自分の世界。だけど……リアルだけれども、何処か現実ではないような気もした。
(いやいやいや、どっちが現実かといえばこっちだろうよ)
そう優斗が思っていると、
"早く起きて朝ご飯食べなさい"
突然、母親の声がした。
すると、優斗はリビングのテーブルに載っている大きなオムライスに気が付く、今まで自分の部屋にいたのに何故かいきなりテーブルに着いていた。
(母さんの作ったオムライス、とっても好きだから嬉しい)
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