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転寝のあと-3
優斗がしばらく考えこんでいたので不思議に思ったランフィスが口を開く。
「……どうしたのユウト?まだ寝ていたい?それだったらここではなくってベッドできちんと寝よう?」
そう言われて優斗は首を振る。
「……夢を見たから……」
「夢……?何の夢を見たの?」
「向こう側の。元の世界の……」
優斗がそう言うと、ランフィスはとても悲しそうな顔をした。
"……あ……"
しまった言わなければよかった…。と優斗は後悔した。
「……あの……」
その後の言葉をどういって良いか分からなかった。"でも、大丈夫"って言ったほうがいいのか。それとも……。
だから、今のは無かったように優斗は、
「ランフィス?部屋に戻ってきたんだね?」
そう言って見た。
「さっきね。ユウトがよく眠っていたから、起こさないようにしていたんだよ」
優しく微笑んでランフィスは答えた。
ランフィスなら絶対にそうすると優斗は思っていた。その通りになってしまった。
「……。ビィが何か話しがあったそうだけど。だけど、ユウトがとてもよく寝ているから、今日はやめにしてもらったよ」
あれからどのぐらい寝てしまったんだろうかと優斗は思った。深く寝るのを避けたかったから、ソファーで転寝をしてたのに。そう思っていると、ランフィスがふいに傍へ近づいて、優斗の顔を覗き込むようにして頭を優しく撫でて頬も撫でた。
「良く寝ていたのは話が長かったから疲れたのかな?ビィが気にしていた」
「……え?」
そんな事はないんだけど……と優斗は言おうとしたが、そのまま、ランフィスが目の前に迫ってきて柔らかく口付けて言葉が出なかった。
「……私とももっと話をして欲しい」
「……」
「今は忙しいけれども、私の部屋に居ればこうやって2人でいる時間も容易い」
そう言いながらランフィスはソファーの上にそっと乗って優斗を優しく抱きしめる。
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