131 / 379
転寝のあと-4
「こうやって、ユウトとゆっくり触れ合う時間もなかったから」
ソファーの上は柔らかいけれども、やはり2人でいるのには狭い。
「ベッドに行こう?」
ランフィスは優斗を抱き上げて寝室へと運ぶ。
(……これ毎度のことながら軽々抱き上げられるとか、しかも姫抱きとか俺はそんなに軽いのか?)
優斗はいつになくそう思ってしまった。
ランフィスとこうやって触れ合って声を聴くと心地よくて安心する。
(心地いいのは、やはり『印 』によるものなの?)
だけど、それが"印"の所為だけではないという実感が優斗にはたしかにあった。
でも、とても複雑な気持ちでもあった。それは、
(レンとランフィスの事を知ってしまったから……だ)
レンは優斗を拐かす手引きをした。だけどそれはジマの術を掛けられていて本人にはその罪はない。
(レンがジマに狙われたのはきっとランフィスとの事があって与し易いと思われたんだと思う)
優斗を拐かす者としてレンが何故ターゲットにされたのかというのは……。
(レンの心には闇が入る隙があったから……)
ギオはそこを巧みに揺さぶりレンを陥落した。
優斗は色々な事を考えすぎて頭の中がごちゃごちゃだった。ランフィスにレンの事を聞きたいけど聞いていいのかどうか……。でも聞かないといつまでも色々考えてしまう。
.
ともだちにシェアしよう!