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転寝のあと-6
「……それは前も言った。でも、もう一度言うよ。『印があるからではない。ユウトだから好き』なんだよ」
ランフィスは優斗をなだめるかのように抱きしめて頭を撫でそっと柔らかく優斗の頬に触れる。
「……ごめん。俺すごくなんだか面倒くさいやつになってるね。でもね……」
何度も確認したい気持ち。それが『何』であるのかランフィスとこうやって話しているうちに優斗は気付いてしまった。
「……不安なんだ」
優斗は伏せていた目を上げてランフィスをそっと見つめると、その綺麗な紫色の瞳が悲しげに優斗を見つめていた。
「……すまない・・・ユウトを不安にさせてしまって。私は、ユウトを守ってはいなかった」
ランフィスはぎゅっと改めて強く包み込むように優斗を抱きしめた。少しでも優斗の不安を取り除けるように。
「……ランフィス。ちょっと苦しい……」
「ごめん。でもね。こうやって抱きしめて触れてそれでユウトの不安を少しでもなくして欲しいから」
レンとのことを知ってしまったから、その不安が加速してしまったのだろうとランフィスは思った。
(本当に私は一体何をやっていたのか?)
ランフィスは己の不甲斐なさを悔やむ。
「俺はランフィスを本当に好きになってもいいの?」
「そんな事、当たり前……。ユウトが分かるまで、何度でも言うよ。私はユウトだから好きなんだよ。・・・愛しているから……」
言葉が終わるか終わらないかのうちに、優斗はランフィスの唇にキスをした。
(ユウト?)
ランフィスが吃驚していると、優斗はキスを止めて言う。
「それ以上はもう言葉はいらないから……。わかったから……」
だけど、今度はランフィスから優斗へキスを何度もする。
「ユウトはかわいいね……」
唇へのキスはそのまま首筋に行く。
「・・・ッ・・・」
キスで触れられたその感触で思わず優斗は声を出しそうになる。
「・・・・・・抱きたい」
ランフィスの言葉に優斗は小さく頷く。
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