146 / 379

咎-6

「長老によばれたのはレンのことだったんだね?」 ランフィスは静かに頷く。 「本来なら皇子である私は裁決の場にはいる必要がなかったんだけど、あえて呼んでもらった」 こちらの世界の裁判ってどういう仕組みになっているかよく分からなかったけれども当事者の自分は行かなくてもよかったのだろうか?と優斗は思った。裁判ってもっと時間が掛かるのではないのだろうか?元の向こう側の世界ではそうだった。 皇族に関係する者に対する不義は死罪に値する。レンはその罪状だけなら死罪は免れなかった。だけど、今回の事は、レンは闇の皇子の魔道士の術に掛かってしまってのことで、そして、皇子であるランフィスも、また、当事者であった優斗もレンを死罪にするという事を望んではいない。 それに、ランフィスが自ら裁決の場に現れたのもあってレンの懲罰は死罪にはならなかった。 それを聞いて優斗はほっと安心をした。 (よかった。だってレンは悪くないから) だけど、ただそれは死罪ではなくなったということであり、いくら術で自分の意思ではなくやってしまったとはいえ、レンが皇子のパートナーを拐かしたといった事実は消えない。罪が無くなるというわけではない。 「レンは記憶を消され、人里離れた場所へ行くことになる」 ランフィスはそう言った。 .

ともだちにシェアしよう!