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街へ-2
ランフィスの天馬はふわっとやわらかく空へと飛ぶ。従者もそれぞれの天馬に乗って空を飛んだ。優斗は顔に風が当たってとても心地よかった。少し高く上がると陽の国の宮殿が上から良く見えて、綺麗ないくつもの庭園と池と、その庭園の木の緑が風で少し揺れているのが分かった。
(それにしても…こうやってこの皇城の敷地を見るとすごく大きいのが分かる…)
優斗の与えられた部屋の場所は中央の所謂、日本の城だと天守閣的な所よりもたしか、離れていたはず。だから……。
(窓からは緑の庭園がよく見えたから。あの辺りかな?ランフィスの部屋はもっと中央に近いはずだから?あの辺なのかな?)
だけど上からだと何処にあるのか優斗には良く分からなかった。
「あそこに見えるのは最初、ユウトがいた森だよ」
優斗が言われた方向を見ると深い森が見えた。
(あれが、こちらの世界に"落ちた"時に居た場所……か?森で出会ったのは、赤い瞳のギオ…だ。ちょっと思い出したくない…かも)
最初、優斗が来た時はたしか夕方だった。ランフィスと天馬に乗って空に飛んで見えた景色は、沈む夕日と暗くなりつつある森の闇が印象的だった。
今日の森は木々の緑の先が陽を受けてキラキラ光っていてその時とはまるで違う印象だ。
「あの森の奥を抜けると緑の国になるんだよ」
天馬はどんどん進んでいき、今度は下に城下町が見えてくる。少し向こうには広場も見える。
「この広場は昼間は子供とかの遊び場にはなっているけど、朝には市場が開かれているんだよ」
広場の周囲は賑やかな屋台があり、上からではあまり確認できないけど色々なものが売られているようだった。
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