153 / 379
街へ-4
優斗が感じたのは車のような乗り物を見ていないという事だった。
(こちら側の世界には向こう側の世界のような車は無いのだろうか?なんだろう。文化とか科学の進歩はこちら側は向こう側とは違うのか?でもビルみたいのもあったし)
馬車のようなものには乗っていた。空を飛ぶ乗り物は今のところこの天馬以外見ていない。
どうやら飛ぶ乗り物はこの天馬だけで、飛行機とかそういうものはなく、しかも、天馬に乗れるのは皇族とその関係者だけのようだった。
ふと、遠くの空に黒い雲が浮かんでいるのが見えた。
「あれは、雨雲?」
思わず優斗が聞いた。
「おかしい。今日は雲ひとつない天気だったはず。ここのところの陽気は"気の力"も安定しているはず…あの方向は……」
"闇の国"の方向であった。
(まさかとは思うけれどもこの日が出ている昼の最中で、奴らがこちらへ仕掛けてくることがあるのだろうか?)
ランフィスは雲をじっと見つめる。
「ランフィス様。雨になるかもしれませんので早めに帰られたほうがよろしいかと」
従者の1人が言うと、
「そうだね、この先にある渓谷の景色が素晴らしいのだけれどもそれは、また今度にしようか」
そう言ってランフィスは天馬を城へ行くように方向を変える。
その時、なにか後ろの方、ランフィスが渓谷があるといっていた方向から、何かの鳴き声?が聞こえた。
.
ともだちにシェアしよう!