154 / 379
街へ-5
"違うこれは風の音??風がなにかの悲鳴みたいに……"
すると、突然。突風が皆を吹き飛ばす。
煽られて天馬が急に失速しそうになる。ランフィスは必死に手綱を締めて天馬のバランスを取ろうとした。
いきなりの事で優斗は咄嗟に鞍に力を入れて捕まる事が出来なかった。優斗はやばいと思って捕まりなおそうとしたけれども、何か白い塊が飛んできて目の前を覆われた。どうやら突風で逃げ遅れた鳥がぶつかって来たようだったが……。
それに気をとられているうちに、優斗はバランスを崩して、そのまま天馬から滑る……。
「ユウトっ!!!!」
ランフィスは手を伸ばして優斗を捕まえようとした。服の端を捉える事ができたけれども、それはそのままするりと抜けて下へと……。
急いで、ランフィスは優斗を追って下へと下へと天馬を飛ばす。
だけど風と鳥の大群に阻まれて見失りそうになる。
それでも構わずランフィスはどんどん下へと天馬を走らす。
「ランフィス様!!危ないです!」
従者が止めるが、ランフィスは返事もしないでどんどん下へと行く。
「ランフィス様!」
「ランフィス様も下へ落ちます!!・・」
従者達は必死にランフィスを止めようとする。
「私はこのまま行く。お前達は城に戻って優斗を探す応援を呼べ!!」
「お独りで下の街に行くのは危険です!」
「違う!!ユウトが危険なんだ!!」
……だから行く。
.
ともだちにシェアしよう!