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空から-4
「まあ、うちのとこに落ちたという事はこいつはこの娼楼のもんじゃなあ」
嬉しそうにそうサンガが言うのを見て、
「かあさん。まさか、こいつをうちで扱うの?」
先ほどのイハクの相方の娼妓が呆れて聞く。
「落しモノはうちのとこに落ちたからな。それをどうこうする権利はある」
「全くかあさんは……」
この辺の娼楼を納めているのはサンガだからここに得体のしれない者が来たというのならばサンガに保護管理の責任はあるというのはそうだ。
「……ねえ。イハクさん。ここはサンガかあさんに任せてもう放っておかない?……だから…ねえ?部屋を変えて続きしない?」
娼妓がしなを作ってイハクにそっと言う。
「……いや、気が剃れた。また今度にするよ」
イハクは改めてサンガに聞いてみた。
「婆さん。この色子、貰いたい」
それを聞いて先ほどの娼妓が
「ちょっと、イハクさんっ」
少し怒って言う。……イハクはこの自分の客であるのにという事だ。
「まあ、うちのとこに落ちてきたからにはこいつはうちのものだからな。でもなあ。こいつ。まだ気を失ってるじゃろ??何か身体に障っていたら困るでな。目え覚ますまで待ってくれな」
(これはもしやえらい良い拾いモノをしたのかもしれないねえ?)
そうサンガは心の内で思った。
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