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空から-5
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優斗は意識を手放した後、自分ではすぐに目を覚ましたと思っていた。
だけど、それは違っていたようだった。
気が付いた場所は全く知らない所だった。
(たしかランフィスの天馬に乗って落ちて……)
地面に叩きつけられて自分は終わったと思ったのだけれども、全くそういった様子もない。
あれは夢だったのだろうか?優斗はキョロキョロと辺りを見回してみた。
ランフィスの城とは違った狭い部屋に寝かされているようだった。どちらかといえはこの部屋の大きさは向こう側の自分の部屋の大きさに近い。ここが何処か把握する為にも優斗はそろそろと起き上がってみる。薄暗くて辺りが良く見えない。ベッド脇に小さな机があった。そこに照明器具らしきものが確認できたので、それを、どうやって点けようかとごそごそしていると、分からないうちに行き成り灯りが付いた。
そういえば、この世界に来てから優斗は灯りを点けた事が無かったという事に気が付いた。城ではいつも侍女や従者に世話を焼かれていたからだ。
優斗はその照明器具をよく観察してみた。向こう側の照明と似たデザインだったけれども電球は少し違う。どういったシステムで灯りが付いているのかも分からない。
こちら側の世界のこういった基本的な事を全く把握していないことに優斗は気が付いた。
(ここは一体何処なんだろう?)
落ちた自分を拾って誰かが助けてくれたのだろうか?
部屋はなんだかガランとしていてベッドとこの灯りがある机と簡単なクローゼットみたいなものがある。
窓がなくって、だけど上のほうに横長の細長い明り取りっぽいものが見える。
これでもっと窓が大きければ城よりもはるかに元の世界の自分の部屋に近い造りだと優斗は思った。
優斗がしばらくキョロキョロと辺りを見ていると。突然部屋のドアが開いた。
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