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空から-6

そこに立っていたのは小柄な初老の女性。サンガだった。 「おお、気がついたか?」 サンガは優斗が起き上がっているのを見て驚いたように話しはじめた。 「よかったな。上から落ちて来た時は吃驚したよ」 この女性が助けてくれたのだろうか?と優斗は思いながら答える。 「あなたが助けて下さったのですか?ありがとうございます。えっと、あなたは……?」 「ああ儂か?サンガっていう名だ。ここの(あるじ)だ。お前、(うち)の建物の屋根をだめにしちゃったからな。でもまあ、お前の主人に請求するからいい」 「……主人……?」 (主人って?ランフィスの事??) 優斗はそう言われて、何の事か良くわからなかった。 「お前、名はなんていう?」 「あの、優斗っていいます」 「ユウト……あまり聞かない名だな」 サンガは暫く考え込む。 「お前は、あのタワーのとこにいた色子だろ?」 「いろこ??」 キョトンとしている優斗を見てサンガがおや?というような顔をした。 「お前。色子じゃないのか?」 「いろこ……って何です?」 優斗には"色子"という単語には全く聞き覚えがなかった。 「ふむ。色子…。男娼のことだ。まあ男の娼婦だな」 「"だんしょう"って。男娼??身体を売っている人のこと?……」 「このあたりで、お前さんみたいな綺麗な女みたいな男は大概が男娼だな」 「……このあたり?何で?」 「ここらは軒並み娼楼だからな」 「しょうろう・・・?」 (また良くわからない単語が出てきた) 優斗はまだ起き上がったばかりで半分しか頭が回っていない所為なのか、自分でも馬鹿みたいにおうむ返しばかりしている気がした。 .

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