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娼楼-3

このヨウは面白い人だと思って優斗は結構、好感をもった。そして、今の自分の状況を正しく理解したくて色々と聞くことにした。 その中で分かったのは……。 この場所はやはり娼館で、あのサンガという人はこの辺りの娼館の元締めの役割をしていて、ここの娼楼はサンガが直接、主人をしている所……という事。優斗は、たまたまここの上客とその相方の娼妓がいたベッドの上に落ちて来たらしい……という事だった。それで……。 「ユウトを見たその上客がとても気に入って、ユウトを欲しいとか言っているみたいだ」 「欲しいって……?」 「まあ、それ相当のお金を客から貰うんだけども。まあ、あんたの場合はたまたまここに落ちて来たっていう事だから。でも、ここの権利は女主人のサンガかあさんにあるからなあ」 「それってどういうこと?」 落ちて来た俺は落し物だから、ここの女主人のサンガのものってことなのか?それは……というかこちら側の常識はそうなの?……とか色々優斗の頭の中でぐるぐるしていると。 「こら、ここにいたのか?ユウト、お前動いてだいじょうぶなのか?今お医者を呼んだから早くこい。それと、ヨウ?」 屋上の出入り口でサンガが怒鳴っていた。 「ヨウ、お前仕事をさぼっているんじゃないよ?このユウトは上客のイハクさんが気にいってるんだ。勝手に部屋の外に出すんじゃない」 「……ごめんなさい。サンガかあさん……」 ヨウはしゅんっとしたようにへこんですぐさまここから立ち去ろうとした。 「あ、ヨウさんは悪くない、俺が来ちゃっただけだから」 優斗は取り成そうとしたが 「いいんだ。ここではそれがルールだから。娼妓はここでは一番偉い。下女は常に娼妓を気にかけなきゃいかん」 サンガはそう言い放った。 (っていうか俺、娼妓??なの?) ………… …… …

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