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娼楼-8
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「臀部の奥には多少の傷はあるが、まあ、色子ならこのぐらいは普通であろう。酷いことはされてはいないようだな」
すっかり優斗は眠ってしまっていた。その間に診察を済ませた医者がサンガに優斗の様子を話す。
「本当かジン?ふーむ。大事にされていた。のか?もしかしたなら、色子ではなく、タワーの住人か?愛人か?だが、このユウトのようなものがいるとは聞いたことはないな。暫く、様子を見るかな。こいつは上玉だからこっちとしてもこのままうちにいてくれてもよいんだがな、タワーの連中とのトラブルも避けたいしな。まあ、うちの客にこいつをほしいって行ってるからそのまま渡して、あっちにトラブルを押し付けるもいいか」
「もしも、タワーの住人の身内なら、厄介だからな。まあサンガなら大丈夫だとは思うが。十分調べておいた方がいいよ」
「だな、分かっているよ。まあ、この上のタワーのオーナーは知り合いだしな。なんとかなろうよ」
「知り合いって。従妹だろう?」
「まあ、な。あいつのとこから、今の皇様のパートナーを出してからはあんまり交流は無いけどな」
「今、皇族の特別警察の連中が動いてるってことは、もしやこの辺りからまた皇子のパートナーが現れた…とかな」
「いや、二度はないわなあ」
「そうだ、たしか、ランフィス皇子様のパートナーは異世界の人だって聞いたしな」
「異世界の人なあ。儂らにはもう関係ないな。まあ、今のバスティン皇様のパートナー様のおかげで、うちの従妹はこの上のタワーのオーナーになってるからな」
「おいおい、そういう事はあんまり話さないほうがいいんじゃないの?」
「いいよ。もう有名な話じゃないか。従妹のとこの一番人気の娼妓だったしな」
2人の雑談の途中で優斗は目を覚ましていたが、その話は今の皇のパートナーの話だったので、思わずそのまま耳をすまして聞いてしまっていた。
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