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娼楼-9
(今の皇のパートナー?たしか名前は……レイア…。ものすごいゴージャス感のある美女だった)
優斗は現皇のバスティンのパートナーを思い出した。
「あの、今の皇のパートナーは娼妓だったのですか?」
寝たふりをしてそっと聞いているだけなんてとても、優斗にはできなかった。思わず起き上がって2人に尋ねてしまっていた。
「おや、お前、起きたのか?」
吃驚してサンガが聞いた。
「起きてしまいました。お2人の会話で」
「ふうん。まあ、有名な話だよ。ここいらではね。知らなかったのか?お前、田舎からタワーに連れてこられた……のか?」
「まあ、ここいら近辺では有名な話ってことだ」
医者はサンガの話に被せて答えた。
「まあな」
(……たしか、最初、ギオがレイアについて何か言っていた……)
一番最初ここに来た時、たしか……。ギオが優斗の純潔を求めていた時。
『今の皇のアレはだめだった……』
そう言っていたのを優斗は思い出した。
(それってそういう意味だったのか?純潔を求めていたギオにとっては。娼婦であるレイアは以ての外であるってことか……)
たしかにパートナーになる印が現れるのは
"神の決める事"
何処の誰でも"印"が現れてもおかしくはない。こちらの世界の人ならば。
(俺は先祖が恐らくこちら側の世界の人であったようだし。こちらの世界の人の血をもっているから)
だから、優斗に印が現れた……。
………
………
2人の会話はまた続くようだった。だけどそれを割り込むようにまた優斗が2人に更に聞く。
「あの、今の皇のパートナーがこの辺りの人だったとして、では、今の皇が皇子だった時にこの街に"探しに来た"ってことですか?」
"印は引きあう"
だから今の皇が皇子だった頃に、この街に来て探したってことだろう……。優斗はそう思った。
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