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娼楼-11
「まあいいじゃないか、ここには、儂とジンとあとユウトだけだ。そういうの気にするのはいないじゃないか」
サンガがそう医者のジンに向かって言うと優斗に向かって再び話しはじめる。
「儂の従妹がレイアを抱えていた娼楼でな。レイアは当時そこでの一番の娼妓でな、従妹はどうしたものかと頭を抱えておったわ。レイアがおかしくなったってな。城へなんて出向いても追い返されるのが落ちだろう?それに下手したら罪に問われてそのままお縄になってしまうかもしれん。こっちは、皇族とかなんて恐れ多くて話すなんて出来ない底辺の身分だしな」
だけどな……と、サンガが更に続けて話す。
「あるとき、レイアが勝手に城に行ってしまったんだよ。だけど城へ出向いたとたん。それが事前に分かっていたように、すんなりと迎え入れられたんだ・・。で……。そのまま、皇子様のパートナー様とになってしまったんだよ。そりゃもう……吃驚仰天だった。そんなこんなで従妹も娼楼を辞めてタワーのオーナーになったよ」
「あの時はもうこのへんの娼館は大騒ぎだったなあ」
「どうやって皇に取り入ったんだとか色々言われてなあ。従妹は酷い言われ様だったよ。でもな、年寄り連中は分かっていたよ。皇子のパートナーになるには、取り入るとかそんなことでは出来ないんだと言っていた。皇子とそのパートナーでしか分からない何かがあるんだそうだ」
"印だ……”
優斗は小さく囁いた。
そんな優斗の様子を不思議そうに医者は見ていた。そして、
「ふむ。君は面白い子だなあ。まあ、本当はもっと眠っていたほうがよい、私らが大きな声で話して起こしてしまったのは悪かった。休んだほうがよい」
そう言って暖かいお茶のようなものを飲むように勧めた。
「このお茶は落ち着くお茶だから。これを飲んでまた横になりなさい」
優斗がそのお茶を貰って飲む時になんらかのハーブのような香りがした。
(ハーブ茶かな?そんな感じ。お茶は好きだからいいか)
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