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娼楼-12
ゆっくりと優斗がお茶を飲んでいると、医者が
「サンガは話しすぎだ。私もそうだが、悪かったなユウトくん」
そう言ってサンガを連れて部屋から出て行った。
2人が部屋を出て行くとまた、部屋は静かになった。優斗はぼんやりと天井を見つめていた。
(この部屋は本当に外の様子が分からない。日がどうなっているかも、窓が上に小さいのだけだし。でも、まあ、だからよく眠れるかも……)
ここは自分にとっては安全であるみたいだし、とりあえずは大事にされている……優斗は安心してまた、目を瞑るとあっという間にまた眠りに落ちた。
……
……
「なあ、ユウトだっけ?あの子は少しおかしいと思わないか?」
医者のジンはサンガと階下の部屋に移ってから話しはじめた。
「ああ、おかしいからお前に診てもらったんだろうジン?」
「いや、そういうことではない」
「皇のパートナーの話にやたら食いついてきただろう?それに、今の皇のパートナーの出自を知らないはずなのに、レイアが"呼ぶ声に呼ばれた"ことについて何か知ってるようだった。それって一般的にはあんまり知られていないはずなのに。何かおかしいと思わないか?」
ジンの話に対してサンガはあまり興味なさげな様子だった。
「ああ?何か、とびとびの噂でしっているのじゃないのか?」
「それにしてもなあ……。ああ、もしかしたら…」
「何だ?」
「皇族の特別警護警察が来ているし、もしや、今更、レイアの出自をごまかす何かを企てているとか?」
「まさか……今の皇子のパートナーも決まった事だし。そんなことはないだろうよ。まさかユウトはそんな物騒な密偵みたいなやつじゃないだろう?」
「だよな……」
ジンはその不可解さの答えが分からなくて納得のいかない様子をしていた。
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