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様々な人々-1
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イハクはサンガに客室から追い出されて帰って欲しいと言われたのだが、どうにもあの"落ちて来た色子"が気になって、娼楼に勤めている従業員の詰所に居座り、詰所にいる下男と雑談をしつつ軽めの飯など貰ったりしてうだうだとしていた。そこでイハクは落ちて来た男は"ユウト"という名前だと知った。
(なんというか、そう、色っぽいんだ。女だと思ったのが男だったとはねえ。男にそんな気は持ったことないんだけど。どうにもこの気持ちは抑えられないし確かめたい。馴染みの娼妓よりもすっげー気になる)
それに……。イハクはさらに、
(あいつ本当に人か?落ちた時の落ち方が、なんだかとても不思議だった。ふわっと落ちて来た。屋根は穴、空いているのに、あいつは傷ひとつもない。落ち方、なのか?)
そうまさしく"こいつはかなりやべえしキテる"と思った。そうこうしているうちに下女のヨウが仕事を終えて詰所に来た。
「ヨウ?ここにちょっといさせてもらっているよ」
ヨウに軽くイハクが挨拶をした。ヨウはほかの下男、下女と上がってきた娼妓らと軽口をたたいているイハクを見て少し呆れた。
「イハクさん。まだこんなところにいたんですか?店はもう営業時間は終わっているし、はやく帰ってください。サンガ母さんに怒られます」
「なんだ、お前もそんなことを言うの?」
「そうです。いくら常連のイハクさんでも、ここはお客さんが来ちゃいけないところなんですよ?」
ヨウはイハクの気さくな所は好きだったがこういっただらしない所があまり好きではなかった。
「いいじゃないヨウ。だってイハクさんが寂しいって言うんだもの?」
まだ若い娼妓がヨウに向かって言った。この娘はまだ若く新人で自分の部屋を持たない娼妓だ。イハクが指名していた娼妓ではない。今日のイハクの相方だったのはここで1、2を争う売れっ子の娼妓のミハナだった。
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