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イハク-3
イハクは驚いている優斗に構わず話しはじめた。
「ここにいたってさあ、ロクなことないぜ?サンガ婆さんはお前を色子だと思ってるし。おそらくここから出す気もないよ。きっとここで客取らせる気じゃないか?」
「そんな・・俺、色子じゃないのに」
「…だったらなおさらだ。俺のとこに来なよ。今はサンガ婆さんが出かけているし。ここの従業員は今、休んでいる。あいつらの目を盗んで抜け出すのには丁度いい」
そんな事をイハクが言い出した。今が一番この辺の連中が静かな時間だ。だから今しか無いのだと。
「……でも」
優斗は今、出会ったばかりなイハクに付いて行っていいのだろうかと不安だった。そんな様子を見たイハクはここはもう一押しするべきと思ってさらに重ねて言った。
「お前さ。良く分かってないみたいだけれども、娼楼に落ちて来たんだよ。娼楼の中のものはすべてその主人の。お前の身柄はサンガのものなんだ」
だからここを出ない限りは、優斗の行動、身体の是非はすべてサンガに委ねられてしまうというわけだった。
「……そういう決まりなの?」
「…そう、規則 だ」
「規則……なんだ」
「だから、俺のとこにおいでよ?客の俺がお前を欲しいってサンガに言ってあるし。大丈夫。後からサンガ婆さんに金渡せばいいってことだよ」
イハクはそう言い切った。
「それって・・俺を"買う"ってことなの?」
「……まあ、そういう事だな。ああ、お金は大丈夫。まあ、お前は元々、サンガのとこに居たものじゃないから、そんなには高くないだろうし」
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