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イハク-5

イハクは誰かに見咎められないようにそっと静かに、優斗を連れて急いで外へ出た。 なんだかものすごくすんなり外へ出られたようだった。 「門番みたいのいないんだ?」 「門番?ああ、客は入るときに金をたんまり払えば後は問題ないからね」 「え、でもここにいる、女の人とか逃げるとか・・ないの?」 「何で?」 あれ?…と優斗は思った。そして、 (たしかよくこういうとこって小説とか、あと時代劇的なのとかだと?よく、女の人が逃げちゃうとかがあって、見張ってる人とかいる?そういう感じだった気がした。でも、そんなに詳しく知らないし。向こう側の世界と違うのかも。そもそもここってどういうシステム?) そんな事を考えていると、 「やはりこの時間は内も外も人が居ないや。一番、人がいない時間かもしれないな。もう少し遅くなればここらの娼楼も店を開ける準備をする時間になるし、今は客の出入りもないし。娼楼の従業員は休んでいる時間だしな」 イハクがそう言った。 サンガの店の他にもこのあたりは娼館が立ち並んでいる街だった。なんだかよくわからない飲み屋のような店や小洒落た感じの店も並んで建っていたが、だけどそのすべてがひっそりとしていて営業時間外だった。 だからなのか咎められることもなく街を歩けた。 (ああ、ここってあれだな真昼間の新宿の歌舞伎町っぽい。手前の繁華街じゃなくってもっと奥まった所の感じ) 優斗はなんとなく街の様子を見て思った。 優斗の行っていた学校は、新宿の繁華街とほど近い場所にあって同級生の親がその界隈の店を経営しているってこともあった。夜はともかくとして、昼間の歌舞伎町の様子はなんとなくはわかっていた。だから、そういう街の雰囲気に似てると思った。 ただ、違っているのは、街からすぐ深い森が見えることだった。優斗がランフィスの天馬に乗っていた時に、街と街の間に森があったのを見た。しばらく歩けばすぐに街のはずれに来てしまうようなそんな感じだった。 .

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