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イハク-14
「……。わかった。信じるよ。嘘付いても無駄って分かって言うやつはいないだろうしなあ」
「ありがとう」
「あと、なんというか、ユウトの少し世間からずれている様子がやっぱりなっていう。少し納得した所もある」
そう言いながらイハクは突然はっとしたようになって、
「ユウト……様・・って言わないといけないな」
優斗の上から急いで飛び退いてベッドから降りて改めて近くの椅子に座りなおす。
「もし、ユウト…様が本当にランフィス様のパートナーだったなら。俺は宮廷画家とかになるとかの話じゃなくって、俺、下手したら死罪??」
「………そんな事にはさせないよ。もし城へ帰ったらイハクが宮廷画家になるようにランフィスに頼んでみる」
「本当に?」
「俺が皇子のランフィスのパートナーであるっていう証拠が出せないのが…アレだけど…」
パートナーである印は、視える能力を持っている人しか視えない。だから、イハクにはみせられない。
(──だったら……印の呼応。ランフィスを感じて呼べる・・・?)
サンガの所では優斗はランフィスを感じることが出来なかった。
遠くてもギオの所へ行ったときに感じたあの呼応は、ビィに力を倍増させるものを授けられたからアレは一時的なものだったのだろうか?サンガの所では、周りに人が多すぎて色々な思惑も入り混じっていた。あそこは人が多すぎな街だったし。だけどここでは?どうなんだろう?ここは街から離れているところだし……だから、少しやってみる価値はあると優斗は思った。
「……証拠は見せられないけど。だけど、試してみたいことがある。だから少しだけ、イハク、静かにしていて?」
優斗はそう言ってそっと目を閉じた。
……しばらく経つと。
(久しぶりの……"この感じ"が…来た……)
"ランフィス・・・?"
"…………"
───ああ、掴めた
.
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