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呼応-1

…… ………… …………… 『…………』 ───声を聞いた気がした。 ランフィスは今たしかに優斗の"声"を聞いた………。だから思わず聞いた方向に振り向いてしまった。 「どうしましたか?」 後ろに控えていた従者の男が不思議そうにランフィスを見る。 「いや……」 ランフィスは優斗の行方は本当に雲をつかむように分からなかった。優斗が落ちてすぐさまランフィス自身も追って行ったのだけれども落ちた先には、優斗はいなかった。 (風で飛ばされて流されてしまったのか……?) だけど、ランフィスは、はっきりと落ちた方向を確認していた。 (見えていた…ハズだ。それともなんらかの所為で落下の位置が変わったのか……) 皇城の中ではあまり意識はしていなかったけれど、ランフィスは優斗との(しるし)の呼応は常に感じていた。優斗が闇の国から戻ってきてからさらにそれは強まったと思っていた。それが、優斗が落下してから今さっきまで、優斗との呼応が無かった。 だから、ランフィスは闇雲に落下したであろう街中をひたすら探索するしかなかった。 特別警察が街中で動くのは街の人々を不審がらせてしまうのであまり良い事ではないが、ランフィスはそんな事を構ってはいられなかった。 だけど、今たしかに優斗の存在が分かった。それはランフィスがパートナーの(しるし)をもつ優斗を初めて探しに外へと旅だった時と似ていた。 そう、優斗を"掴んだ…" ランフィスは優斗の気配を感じるままに、天馬を走らせる。 「ランフィス様?」 従者は突然ランフィスの天馬が走り始めたので驚いた。 「ああ、ユウトの行方が掴めた気がする。彼の気の気配を感じた。だから行く」 従者が慌てて特別警察に伝令を走らせる。 (彼らを待っている暇はない。一刻も早く優斗の元にいかなければ……) その先に急ぐ。 ランフィスの天馬が空を上る。 ………… …… …

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