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茶色の-1
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優斗が皇城へと戻って落ち着いた頃。
ランフィスの即位式とその後の優斗のお披露目の日の日程は半年後と決まって、その準備も着々と進んでいた。優斗はその衣装の仮縫いが出来たので着て様子を見たり、あと細々としたものを取り決めたり等々、皇城へ戻って暫くバタバタとしていた。
だから色々と考えている余裕もなくて、落ち着いて少し余裕が出来た今、このままランフィスのパートナーとしてここにいていいのかという思いがふと、優斗の中に湧き上がってきた。それは前々から心の中で蟠っていたことであった。
元の世界へは帰れない、だからここにいるしかないのはそうだ。それに、
(何かしら俺に肝心な事を隠しているような・・ビィ。そういえばビィに聞きたい事がまだあったんだ。街へ行って天馬から落ちてしまってそれから暫く経ってしまったから、未だに聞きそびれてしまっている)
色々な思いがなんだかごしゃごしゃして優斗はどうしていいか分からなくなる。
なんとなく気分をかえようとして、バルコニーから見える庭の綺麗な薄葉花の木々を見る。花の盛りがすぎたのか綺麗な花びらが風が吹くたびにきらきら舞い落ちてそれを見とれていた。無心で見ていると少しづつ心が落ち着いてくるのが分かった。
そこで、何やら見たことのある茶色の塊が……。
(あ、これ、この前いたやつだ)
茶色の塊というよりオレンジがかった色の動物。それが、その薄葉花の落ちて来る花びらに向かって飛び跳ねていた。
優斗は今度こそ、あの動物を近くで見たいと思った。それに触れるなら触ってみたい。あわてて庭へと降りていく。
(大きな音を立てて驚かせないようにしないと)
それはとても難しいけれども、逸る心を抑えてなるべく音をたてないように庭へと降りた。近くで見てもそんなに大きくはない子犬とか猫とかそのぐらいの大きさの動物だった。
庭は暖かくて気持ちが良く、柔らかい風もあったけれども寒くはない。その風が吹く方向と反対に、風に向かってその動物は元気に飛び跳ねていた。とても危険な動物なのかもしれないという不安がふと優斗の心にうかんだ。でも、それよりもかわいいという印象の方が勝ってしまった。
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