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茶色の-3
「おいで?」
優斗がそっと抱き上げてみると、柔らかくてとてもふわふわな毛で
(これ高級な猫なのでは?)
と思った。
抱き上げても暴れないで、引っ掻くとかそんなこともなかった。だけど、そこらへ飛び回っていたせいか、足が泥だらけになっていて、このままでは部屋の床に下ろせない。しかも昨日の夜、軽く雨が降ったせいか少しぬかるんでいて、足以外も泥だらけになっていた。
「うーん。どうしよう?とりあえず、風呂場で綺麗にしようか?」
優斗は猫を抱っこしたまま部屋に戻った。
ランフィスの部屋の中はいくつかの部屋が続き部屋になっていてホテルのスイートルームのようになっている。そのまま、リビングを抜けて、部屋奥にある風呂場へ向かう。
その風呂場はなかなか落ち着いていて、湯舟が大きいしなかなか良い。だけど、湯舟はすぐ入れる仕様で風呂の縁は床から少しだけ高いだけで、湯は常に張ってあるから、猫が誤って飛び込まないように注意しないといけない。
(猫って水嫌いだよね……。濡らしたタオルとかで拭くのがいいよね、でもタオルが無い・・どうしよう)
優斗はそう思ったけれども、暴れる様子もなく、むしろ面白そうに風呂場を静かに歩き回っていた。
「湯舟にはいったら危ないからあんまり歩き回らないで」
するとまた
"ニャー"
という返事があった。
「ホントに君は言葉がわかるのかなあ?タイミング的にぴったりだね」
優斗は少し迷ってから、湯桶に湯を汲んでからそーっと猫の足を洗うことにした。湯につけるとびっくりしたのか怖がって優斗の体に這い上がろうとした。
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