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茶色の-5

"これは誰?っていうか猫は?何?この人?え?ってか裸?" 優斗は軽いパニック状態になる。 "どういう事?" すぐさまこの男を自分の上から退かしたい。だけど、吃驚して怖くて動き出せない。 「……誰??猫は何処?!」 (どうしよう。この人は結界を破って来て、ここに入って来た……ってこと??) その男は、動じずじっと優斗を見下ろしていた。 (俺よりすこし年上?な感じ?) なんだか可愛らしい感じの顔で、ふわふわしたウェーヴがかかった少し長めの茶色の髪の毛が顔にかかっていて、その表情はなんだかすごく不思議そうな、きょとんとした表情をしていた。その様子を見ると危険という感じはしなかった。 (髪色がさっきの猫と同じ色……?) と優斗が思っていると。 すると、ガシャっというすごい音がして、優斗の目の前の茶色の髪の青年の首元に、突然なにか銀色のものが突き付けられた。 "剣??" 優斗が気が付くと同時に冷たい声がした。 「貴様、そこから退かないとこのまま首を跳ねる」 優斗が声の方へ首を捩って確認するとランフィスだった。 「……ランフィス?」 普段では聞いたことのないような声色だった。だけど、そういえばこちらの世界に来て最初に出会った時、ギオに対して放った声色が同じであったと優斗は思い出した。 (あの時はただギオが怖かった……) 恐ろしかったし自分に一体何が起こっているのか分からない事も怖かった。 .

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