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茶色の-6

「ランフィス何で?ここに?」 たしかランフィスは執務室の方へいたはず。 「ユウトの悲鳴を感じた」 「感じた……?」 (聞こえたのではなく…?) 優斗のその疑問に答えるかのように少し頷いてランフィスは言う。 「今、私とユウトの間には強い引き寄せがある。この私のいる城の中では特に強い。だから優斗を常に感じる」 "だからすぐに分かった" (引き寄せ……。(しるし)の呼応。特に今はランフィスと俺がこんなに近くにいる城の中だからすぐ何かあったって分かったってこと?俺にはよくわからないけど、ランフィスの方が呼応が強いってたしか言ってたからそうなのかな……) それにしても、猫は一体何処へいってしまったんだろうと優斗はあたりを見回す。考えられるのは、この目の前の男が猫を何処かに退かしてしまったという事。あの一瞬の間に。風呂場のドアから追い出すのは訳無いかもしれない。 ドアから出たというのなら、部屋の隅にでも隠れているのかもしれない。中途半端に足を洗ってしまったからまだ汚れているかもしれないし、もしかしたなら足跡とか床についているかも。と優斗が考えていると。 「何処から入った?まさかまた、闇の国の者か?」 ランフィスが冷たい声で再びその男に対して言い放った。すると、男は、優斗の上からぱっと風呂場の端のほうへ飛び退いた。 そう、さらっと身軽に。まるで……。 .

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